ストレスと子どもの発達

 ワークショップの準備などであわただしかったこともあり,しばらく通信が更新されていませんでした。申し訳ありません。

 昨年度末に放送されたNHKの「クローズアップ現代」で「現代型うつ」について特集されていました。「現代型うつ」というのは,もちろん正式な病名ではありません。最近若者を中心に増えてきた,ある特徴をもったうつの様態を指しているようです。その特徴とは,

 「会社で上司からのちょっとした叱責などが原因でうつになる」「その場(会社)にいるとうつ状態だが,その場を離れると元気なことが多い(会社から帰宅後はカラオケで友人と楽しんだりすることができる)。」「うつの原因を他人のせい(「上司の理解がないのが悪い」など)にしがちである。」などです。

 最近,企業においては,若い社員に対して以前のような調子で指導すると簡単にうつに陥って出社できなくなる社員が続出してしまい,非常に困っているとのことです。対策のために,直接若い社員を指導する中間管理職に対する研修会が盛んに開かれているという話でした。

 私は現在高校に勤務しているのですが,実は高校生でも最近同じような様態の子どもを目にするようになっています。

 以前の教師の感覚からすると「軽く注意しただけ」と思えることでも,子どもがひどく落ち込み登校できなくなったりすることがあります。学校には登校できなくても,家では結構元気です。

 場合によっては「先生からひどく叱られたのでもう学校に行けない」と親に訴え,保護者から担任教師に対し「いったいどんな叱り方をしているのか,もう少し子どもの気持ちを考えて指導すべきではないか」といった主旨のクレームがつけられることもあります。もちろん,保護者は「子どもが学校に行けなくなるぐらい落ち込んでいるのだから,よほどひどい叱責をされたに違いない」と思っておられるのです。保護者の年代の感覚からすれば当然の反応でしょう。しかし,実際には本当に「軽い注意」だけなのです。

 こうなると学校側から説明をしてもなかなか理解してもらえず,困った事態になることもあります。

 この現象は現代の教育が抱える非常に根深い問題を象徴しているように思います。簡単に言えば,若い世代のストレス耐性が極度に低下しているということなのでしょう。このまま世代交代が進んで行ったときに,はたして次世代の働き手たちは日本社会をちゃんと支えていけるのか,次世代の親たちはちゃんと家族と子どもを守っていくことができるのか,とても心配になります。

 しばらくこの問題について続けて記事を書かせていただきたいと思います。今回は問題提起です。次回からはその背景などについて考えていきたいと思います。 

2012.1.18 (豊永)