親であることの難しさと尊さ

 日々の臨床場面で出会う親御さんはその殆どが、子ども時代、多くはその親との関係の中で様々な満たされぬ思いを抱いた体験を持っておられると感じます。親にしてもらったことがないことを、自分が親になったときに子どもにすることは、とても難しいことだと思います。「自分が味わった思いを子どもにはさせたくない。」と、その難しい課題に果敢に取り組もうとされている姿は尊く、心の中で手を合わせます。

 今年もまた、新学期を迎えました。本来嬉しい筈の入学や進級の時期ですが、仕事柄、思うように行かなくて苦しんでいる子供たち、そして心身の不調のため大事な時期の子どもたちの支えに十分なれないで苦しんでいる親御さんたちにお会いすることが少なくありません。入院中に子どもさんの入学式を迎え、一日も早く退院して子どものお弁当を作りたいと語られたお母さんがおられます。人が本当に元気になるには、誰かに見守られ、支えられるだけでなく、自らが人の役に立ち、支えになっているのだと実感できることが必要なのだと痛感しています。

2011.4.11 (竹下)